この記事の要約

休日の朝、行きつけの焙煎所で勧められた見慣れない抽出器具を試してみた時間について書いてみました。手順の複雑さや、出来上がったコーヒーの濁りのある味に戸惑いながらも、すぐに好きか嫌いかを決められない状態がなんだか心地よく感じられたんです。直感的な正解が求められる日常の中で、あえて結論を急がず、ゆっくりと仲良くなっていく過程を楽しむ余白について考えてみたよ。

見慣れない筒状の器具と、戸惑う手元の数分間

秋も深まり、朝の空気が少しだけひんやりと感じられるようになった休日。キッチンのステンレス台に置かれたのは、先日行きつけの焙煎所でマスターから「ちょっと変わっているけれど、面白いよ」と手渡された、見慣れない筒状の抽出器具でした。注射器を大きくしたようなプラスチック製のその道具は、いつも僕が使っているガラス製のドリッパーに比べると、どこか無骨で不格好な佇まいをしています。

ゆうと本人と「不格好な筒状の器具がもたらす濁りと、白黒つけない朝の余白」の内容を表すブログ挿絵
ゆうと本人の雰囲気と記事の情景

普段のペーパードリップなら、細口のポットからお湯を注ぐだけの静かな時間です。お湯の落ちる速度をコントロールしながら、ふくらむ粉の様子を眺めるのは、僕にとって思考を整える大切な儀式でした。でも、今日の主役は勝手が違います。粉を入れ、お湯を注いでかき混ぜた後、上から体重をかけて空気を押し出すという物理的な力作業が必要になるんです。

プラスチックの筒が軋む音とともに、手元に伝わってくる想定外の抵抗感。スムーズとは言えないその動きに、僕は思わず苦笑いしてしまいました。いつもなら無意識にできるはずの「コーヒーを淹れる」という行為が、急に難解なパズルのように感じられます。思い通りにならない手元の不器用さに少しだけ戸惑いながらも、この予測できない数分間が、なんだか新鮮で面白く感じられたんですよね。

予想外の濁った琥珀色と、一口目の保留

力を込めて押し出した液体が、お気に入りのマグカップに注がれていきます。立ち上る湯気とともに広がったのは、いつもより野性味のある強い香りでした。でも、僕の目を引いたのはその色です。普段のドリップで淹れたコーヒーが透明感のあるルビー色だとすれば、今日の一杯は、微粉が混じって少し濁った琥珀色をしていました。表面には豆の油分が虹色に浮かんでいて、見た目からもその個性の強さが伝わってきます。

そっと口に運んでみると、ざらりとした舌触りとともに、複雑な酸味と苦味が一度に押し寄せてきました。いつものすっきりとした味わいとは対極にある、どっしりとした重み。美味しいのか、そうでないのか。一口飲んだだけでは、自分でもよく分からないというのが正直な感想でした。

普段なら、初めてのものを口にした瞬間、頭の中の「お気に入り」か「そうでないか」のどちらかのフォルダに自動的に振り分けてしまうことが多い気がします。でも、この濁った琥珀色の液体は、そのどちらのフォルダにも収まらないまま、僕の味覚の真ん中で立ち止まっていました。「好き」とも「嫌い」とも言いきれない。ただ、不味いわけではなくて、もっと知りたいと思わせる不思議な引力があったんです。この保留状態の感覚が、なんだかとても不思議でした。

直感的な正解を手放して、ゆっくりと仲良くなる過程

僕は普段、画面の向こう側にいる人が迷わないためのインターフェースを考える仕事をしています。瞬時に理解できて、学習する手間がなく、直感的に心地よく操作できること。それが良い体験の基本だと信じているし、実際そうやって設計を繰り返してきました。ユーザーテストで誰かが操作に迷う場面があれば、それは改善すべき課題として受け止めるのが日常です。

ゆうと本人と「不格好な筒状の器具がもたらす濁りと、白黒つけない朝の余白」の内容を表すブログ挿絵
ゆうとが記事の中心的な場面を振り返る一枚

だからこそ、この「どう扱えばいいか分からない」「美味しいのか分からない」という摩擦を伴う体験が、今の僕にはひどく新鮮に映ったのかもしれません。何でもすぐに評価を下せる時代の中で、あえて「まだ分からない」というタグをつけておくことの豊かさ。すぐに白黒つけられないからこそ、その奥にあるものを探ろうとする好奇心が湧いてくるんだと思います。

人の好みも、システムのように一瞬でアップデートされるわけじゃないですよね。最初は違和感しかなかったものが、時間をかけて少しずつ馴染んでいき、いつの間にか手放せないものに変わっていく。そんな風に、ゆっくりと仲良くなっていく過程そのものに、僕たちは愛着を抱くのかもしれません。使いこなすまでに時間がかかるからこそ、自分だけの正解を見つけたときの喜びも大きくなる気がするんです。

結論を急がないための、明日の予定

飲み終えたマグカップを洗いながら、分解した器具の構造を改めて眺めてみました。ゴムのパッキンやプラスチックの筒を洗い流す手間も、いつもより少しだけかかります。でも、その手間の時間すらも、今日の僕には思考を整理するための心地よいリズムになっていました。

まだこの独特な味を好きになるかは分からないし、もしかしたら数週間後には戸棚の奥にしまってしまうかもしれません。でも、すぐに結論を出さずに、この宙ぶらりんな状態をもう少しだけ遊んでみようと思っています。例えば明日は、こんな風に試してみようかなと、頭の中でいくつかの選択肢を並べてみました。

  • 豆の挽き具合をもう一段階粗くしてみる
  • お湯の温度を数度下げて、酸味の変化を確かめる
  • 押し込む時の力加減を、もう少し優しくしてみる

違和感と好奇心が行ったり来たりするこの時間。すぐに答えを出さないことで生まれる余白が、今の僕にはとても心地よく感じられます。明日もまた、この不格好な器具と格闘しながら、僕なりの着地点を探してみようと思います。

ゆうと

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ゆうと

ユーモアを持ちながらクールな面ももつキャラクター。優しい性格で、共感力が高い。

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