この記事の要約

いつもなら迷わず大きなフープイヤリングを選ぶ朝。ふと手を伸ばしたのは、耳たぶにピタッと収まる小さな星のイヤリングでした。大きく動いても揺れない静かさが、今の私にはなんだか心地よくて。無理に背伸びして飾らなくても、内側にある元気を信じられるようになったみたいです。派手な音を立てなくても伝わるものがある。そんな、ほんの少しの心の変化と、秋の朝のささやかな出来事をまとめたエッセイ。

アクセサリーケースに眠る小さな星と朝5時半の冷気

朝5時半。窓の隙間から入り込む風が、本格的な秋の深まりを教えてくれました。北海道の厳しい冬を知っているはずなのに、東京の朝のひんやりとした空気には、また別の冷たさがあるような気がするんです。故郷の雪がしんしんと降り積もる無音の冷たさとは違い、遠くを走る始発電車の音や、カラスの鳴き声が混ざり合う、少しだけ慌ただしい冷たさ。そんな都会の朝の匂いにも、すっかり慣れてきました。温かいお茶を一口飲んでから、いつものように鏡の前に座り、お気に入りのシールを貼った小さなアクセサリーケースを開けました。

りん本人と「揺れない小さな星のイヤリングと、ブレない私の中心点」の内容を表すブログ挿絵
りん本人の雰囲気と記事の情景

ケースの中には、これまで少しずつ集めてきた色とりどりのアイテムが詰まっているんですよ。

  • 百円ショップで見つけて一目惚れしたビーズのリング
  • フリマアプリで手に入れたアンティーク調のバレッタ
  • 母と一緒に手作りした、お揃いのシュシュ

どれも高価なものではないけれど、私にとっては一緒にステージを作る大切な相棒たちです。いつもなら迷わず、顔まわりをパッと華やかにしてくれる大ぶりのフープか、キラキラ揺れる長いチャームを選ぶのが私の定番。地方の小さな町からSNSで発信を始めた頃から、「とにかく元気いっぱいに目立たなきゃ!」という思いがずっと胸の奥にあったからです。画面越しでも伝わるように、少しでも大きく、少しでも輝きが強いものを。そうやって選んできた歴史が、ケースの中を賑やかに彩っています。

でも今朝は、その賑やかな集まりの端っこで静かに眠っていた、小さな星のスタッドイヤリングに目が留まりました。耳たぶにちょこんと乗るだけの、とても控えめなサイズ。母と一緒に初めて衣装を作ったとき、「これくらい控えめな方が、服が引き立つかもね」と笑い合った記憶が蘇ります。昔の私なら「これじゃ画面越しに伝わらないかも」と瞬時に却下していたはずなのに、今日はなぜかその小さな輝きがとてもしっくりきたのです。

揺れない耳元が教えてくれた、静かな余白

冷たい金属をカチッと耳に挟んで、首を左右に振ってみます。いつもならシャラシャラとした音が響き、頬に冷たい感触が当たるはずの動作。けれど、今日は何も音がしません。最初は少しだけ物足りないような、寂しいような気もしました。装飾のボリュームを落とすことで、私の中のアイドルらしさまで小さくなってしまうのではないかという、ほんのわずかな不安。

それでも、そのまま立ち上がって軽いストレッチを始めてみます。大きく息を吸い込んで、肩甲骨を寄せるように両腕を広げる。足首を順番に回し、アキレス腱をゆっくりと伸ばしていく。いつもなら、ここでシャラッと耳元のアクセサリーが揺れて気合いを入れるスイッチになっていました。でも今日は、ただ私の呼吸の音と、スニーカーが床を捉える感覚だけが存在しています。どれだけ激しく動いても、耳元はずっと静かなままです。

不思議なことに、その静寂が、かえって私を真っ直ぐな場所へと引き戻してくれるような感覚がありました。視界の端で揺れるものがなくなったことで、足裏が床をギュッと掴む感覚や、深く吸い込んだ空気の冷たさ、筋肉の伸びる感じを、より鮮明に味わえるようになったのです。床板のわずかな軋みや、スニーカーのゴムが擦れるキュッという音。いつもならアクセサリーの音にかき消されていた微かな音が、クリアな輪郭を持って耳に届きます。派手に飾らなくても、私の中にある熱量や前向きな気持ちはちっとも減っていない。むしろ、余計な音がなくなった分、身体の芯にあるエネルギーが真っ直ぐに外へと向かっていくような気がしたのです。

背伸びを辞めた私と、過去の記憶

オーディションに落ちて悔し涙を流した高校一年生の冬。あの頃の私は、足りないものを外から継ぎ足すことばかり考えていました。ダンスの技術も、歌の表現力も、周りのキラキラした同世代には到底敵わない。地方に住んでいるというだけで、見えない壁に阻まれているようなもどかしさもありました。SNSの画面を開くたびに、華やかなステージで輝く同世代の姿が目に飛び込んできて、焦りばかりが募る日々。

りん本人と「揺れない小さな星のイヤリングと、ブレない私の中心点」の内容を表すブログ挿絵
りんが記事の中心的な場面を振り返る一枚

だからせめて、見た目だけでも派手に、明るく、誰よりも目立つように。そんな風に必死に背伸びを重ねて、鎧を着込むように飾り立てていた時期があったのです。原色の派手な服を着て、とにかく大きな声を出して。それが私なりのアイドルらしさの正解だと信じ込んでいました。今思えば、それは自信のなさを隠すためのカモフラージュだったのかもしれません。

けれど、毎朝5時に起きてステップを踏み続け、SNSを通じてたくさんの人と出会ううちに、その重たい鎧は少しずつ剥がれ落ちていった気がします。「りんちゃんの笑顔を見ると、朝の憂鬱な気分が吹き飛ぶよ」「今日も一日頑張れそう」というコメントを画面越しに受け取るたび、不思議と心が軽くなっていきました。ファンのみんなは、完璧に飾られた無敵の私ではなく、ステップを間違えて笑い転げたり、汗だくになって息を切らしたりする、そのままの私を面白がってくれました。少し不格好でも、一生懸命に汗をかく姿そのものを応援してくれる人たちがいる。その事実は、雪を溶かす春の日差しのように、私の強張った心をゆっくりと解きほぐしてくれたのです。

小さな光と一緒に踏み出す新しいステップ

カメラをセットして、いつものように配信のスイッチを入れる直前。画面に映る私を見て、ほんの少しだけ大人になったような気がしてフフッと笑ってしまいました。大きく揺れるチャームがなくても、私から溢れる元気は昨日と何も変わらない。むしろ、肩の力が抜けた分だけ、もっと自然な笑顔を届けられそうな予感がします。無理にテンションを引き上げなくても、ただそこにいて、みんなと同じ朝の空気を吸い込むだけで、十分に満たされている私がいます。

部屋の隅にある小さな時計が、まもなく開始の時間を告げようとしています。誰かに見つけてもらうために必死に両手を振っていた時期を経て、今は目の前にいてくれるみんなと、まっすぐ向き合う時間が何よりも愛おしい。耳元でじっと光る小さな星と一緒に、今日も思い切り、私らしいステップを踏み出そうと思います。画面の向こうからどんな「おはよう」が届くのか、今からワクワクが止まりません。大きく深呼吸をして、最高の笑顔で配信ボタンを押しました。

りん

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りん

明るく天真爛漫。ファンを大切にし、常に前向き。夢に向かって努力する姿勢を見せ、周りを元気にする。

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