この記事の要約

実家から届いた冬服の段ボールから、小学生の頃に大切にしていたプラスチックの赤い指輪が出てきました。当時は本物の宝石のように見えていたおもちゃ。メッキが剥がれ、傷だらけになった表面を見つめながら、憧れだけで踊っていたあの頃と、自分の足で前に進もうともがく現在の違いについて考えた時間をお届けします。

冬服の隙間から転がり落ちた小さな赤

北海道から届いた大きな段ボールを開けると、ひんやりとした実家の匂いが部屋に広がりました。圧縮袋に入ったかさばるダウンジャケットや、母の手書きのメモが貼られた保存容器。そんな生活感あふれる荷物を整理していると、箱の隅からコロンと軽い音がして、床に何かが落ちるのが見えました。拾い上げてみると、それは縁日のくじ引きで当たったような、赤いプラスチックの宝石がついたおもちゃの指輪でした。

りん本人と「冬服の底から転がり出たおもちゃの指輪と、傷だらけの無敵な時間」の内容を表すブログ挿絵
りん本人の雰囲気と記事の情景

小学生の頃の私にとって、この指輪は最強の魔法のアイテムでした。外は一面の雪景色で、どこへも行けない冬の午後。ストーブの効いた部屋でテレビの音楽番組をつけ、ヘアブラシをマイク代わりに握りしめる。そして、この赤い指輪を右手の人差し指にはめると、六畳の部屋は一瞬にして何万人ものお客さんが待つドームツアーの会場に変わったのです。鏡の前に立つ私は、いつだって完璧なトップアイドルでした。

当時の私は、このプラスチックの塊を本物のルビーだと信じて疑いませんでした。キラキラと光を反射するそれを見るたびに、私だっていつか絶対にあのステージに立つんだという無敵の自信が湧いてきたことを覚えています。あの頃の私にとって、憧れは遠くにあるものではなく、指先で光るこの赤い石の中に確かに存在していました。

傷だらけの表面が語る無敵の時間

大人になった今の視点で改めて手のひらに乗せてみると、その指輪は驚くほどチープで小さく見えます。あんなに眩しく輝いていたはずの赤いプラスチックは、細かな擦り傷でくすんでしまい、周りを囲んでいた銀色のメッキもすっかり剥げ落ちていました。裏側を見ると空洞になっていて、本当にただの軽いおもちゃなんだなと実感させられます。

でも、指輪についた無数の傷を指の腹でなぞっているうちに、なんだか愛おしい気持ちが込み上げてきました。この傷は全部、私が夢中で踊り続けた証です。テレビの前の絨毯でつまずいて転んだ時も、ガラス窓を鏡代わりにして何度もターンを練習した時も、コタツの角に手をぶつけた時も、私はずっとこの指輪をつけていました。傷がつくことなんて全く気にせず、ただひたすらに前だけを見ていた時間が、このくすんだ表面に刻み込まれています。

周りの大人たちから現実を見なよと笑われた日、悔しくて布団の中でこっそり泣いた夜も、この指輪をギュッと握りしめていました。メッキが剥がれていく過程は、もしかしたら私が子供の空想から抜け出し、現実の厳しさを知っていく過程だったのかもしれません。それでも、この指輪をゴミ箱に捨てることだけはできなかった。それはきっと、傷だらけになっても踊ることをやめなかった自分自身を、手放したくなかったからだと思います。

魔法が解けたあとに残ったもの

あの頃は、この指輪さえあればアイドルになれるような気がしていました。でも、おもちゃの魔法が解けた今、私を支えているのは全く違うものです。母と一緒に生地屋さんを歩き回って選んだ布、ミシンを踏んで夜中までかかって縫い上げた衣装。そして、朝5時に起きて、息が上がるまで何度も同じ振り付けを繰り返す泥臭い毎日です。

りん本人と「冬服の底から転がり出たおもちゃの指輪と、傷だらけの無敵な時間」の内容を表すブログ挿絵
りんが記事の中心的な場面を振り返る一枚

誰かに与えられた魔法のアイテムなんて、現実の世界にはどこにもありません。カメラの向こうで待ってくれているみんなに元気を届けるためには、自分自身の汗と時間を使って、本物の熱量を作り出していくしかないんです。自分で発信を続けて、少しずつ私の言葉を受け取ってくれる人が増えていく。SNSを通じて届く温かい応援の言葉は、プラスチックの指輪がくれた一瞬の高揚感よりも、ずっと深くて確かなものでした。

今の私は、傷つくことを恐れずに全力で走れています。それは、あの頃の私が傷だらけの指輪と一緒に、あきらめない心を育ててくれたおかげです。くすんでしまった赤い宝石は、魔法の力を失った代わりに、君なら自分の力で光れるよと静かに背中を押してくれているような気がしました。

小指の途中で止まるリングと、これからの景色

試しに右手の人差し指にはめてみようとしましたが、今の私の手には小さすぎて、小指の第一関節までしか入りませんでした。不格好に指先に引っかかった赤いプラスチックを見つめていると、ふふっと笑いがこぼれました。ずっと変わらずに夢を追いかけているつもりだったけれど、私の手も、見つめる先の景色も、あの頃よりずっと大きくなっているんですね。

自分の力で立ち上がり、みんなと一緒に叶えたい大きな目標がある。それは、六畳の部屋で一人で踊っていた頃には想像もできなかった、広くて新しい世界です。小指の先で窮屈そうにしている指輪をそっと外し、私はそれをアクセサリーケースの一番手前、今のお気に入りのイヤリングたちの隣に置きました。

これから先、自分の歩幅に迷う日があったら、この傷だらけのおもちゃを見つめ直そうと思います。無条件に夢を信じていたあの無敵のエネルギーを思い出しながら、明日もまた、私らしい笑顔で思い切りジャンプするために。

りん

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りん

明るく天真爛漫。ファンを大切にし、常に前向き。夢に向かって努力する姿勢を見せ、周りを元気にする。

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