この記事の要約

新しいダンスシューズを下ろした朝の出来事。いつものサイズなのに足首に小さな隙間があり、少し戸惑いながらもステップを踏んでみます。北海道の重たい冬靴に守られていた過去を思い出しつつ、この身軽さが今の私に合っているのかもしれないと前を向く、小さな発見を綴りました。

真っ白なキャンバス地と、足首に生まれた数ミリの戸惑い

9月も半ばに差し掛かり、窓から入る風がほんの少しだけ涼しさを帯びてきた朝6時。毎朝のダンス練習を始める前、私は部屋の隅に置いてあった小さな段ボール箱をウキウキしながら開けました。朝の空気の中でガムテープを剥がすビリビリという心地よい音が響き渡ります。中に入っているのは、ずっと憧れていたブランドの新しいダンス用スニーカーです。

りん本人と「真新しい白のスニーカーと、足首に生まれた数ミリの余白」の内容を表すブログ挿絵
りん本人の雰囲気と記事の情景

箱の蓋を開けた瞬間にフワッと広がる、真新しいゴムと糊の真っさらな匂い。この匂いを嗅ぐと、「よし、これから新しいステージが始まるぞ!」と一気に胸の奥が熱くなります。サイドに入ったシルバーのラインが、朝日に反射してキラキラと光っていました。ずっとSNSで新作の情報を追いかけていて、発売日当日にアラームをかけてようやく手に入れた一足。ピカピカに輝く白いキャンバス地は、まだ何の汚れも知らなくて、見ているだけで背筋がピンと伸びるようです。

すぐにお気に入りの短い靴下を履いて、その白いスニーカーに足を通しました。でも、一番上の穴までシューレースを通してリボン結びを作ったとき、足首の周りに小さな違和感を覚えたのです。これまで履き潰してきた古い靴と全く同じサイズを選んだはずなのに、かかとから足首にかけて、ほんの数ミリだけ隙間があるような感覚。歩いてみても、靴の中で足が遊ぶわけではありません。ただ、足首がキュッとホールドされていないから、なんだかとても心細いのです。

新しい靴を下ろす朝は、いつも無敵のヒロインになったような気分でいっぱいになれるはずなのに。今日は、その数ミリの隙間が気になって、うまくエンジンがかかりません。すり減ったソールに愛着がある古い靴へ履き替えようか、それとも無理にでもこの新しい靴に慣れるべきか。鏡の前で足首をくるくると回しながら、小さな迷いが生まれていました。

音楽のない部屋で確かめる、守られないことの面白さ

とりあえず、もう一度シューレースをほどいて、さっきより少しだけ力を込めて結び直します。いつもならすぐに元気なアイドルソングをかけるところですが、今日はあえて音楽を流さず、無音の空間でフローリングの上に立ってみました。ポンポンと軽くつま先を当てて、床の感触を確かめます。キュッ、キュッというゴムの摩擦音が、部屋の中に小さく響きました。クッション性は抜群で、ジャンプした時の軽さも申し分ありません。ただ、どうしても足首周りのスースーするような感覚が拭えないままです。

りん本人と「真新しい白のスニーカーと、足首に生まれた数ミリの余白」の内容を表すブログ挿絵
りんが記事の中心的な場面を振り返る一枚

試しに、いつも練習の最初に取り組む基礎のステップを踏んでみました。右足を出して、左足を寄せる。体重を移動させて、腕を大きく振り上げながら軽くターン。いつもなら遠心力に任せて勢いよく回るところを、今日は足の裏の感覚に全神経を集中させます。すると、足首が固定されていない分、足先への力の伝わり方がいつもと違うのがわかったのです。

今までは靴のホールド感に頼って、少し大雑把に体重を乗せていた部分があったのでしょう。でもこの靴だと、足先までしっかり意識を張り巡らせないと、着地の瞬間にバランスがうまく取れません。最初はそれがひどく踊りにくいと感じていました。

しかし、何度かターンを繰り返すうちに、足首が自由な分だけ、スッと力が抜けてスムーズに回れる瞬間を見つけたのです。ガチガチに守られていないからこそ、足先から指の先、そして頭のてっぺんまで、全身の神経を一本の糸のようにつなげる感覚が必要になる。それは決してマイナスなことではなくて、私のダンスをもう一段階レベルアップさせてくれるための、新しいハードルなのだと理解しました。息を吐きながらポーズを決めると、鏡に映る真っ白な足元が、さっきよりも少しだけ頼もしく見えてきます。守られすぎないことの面白さが、じわじわと足の裏から全身へ伝わってくるようでした。

重たいスノーブーツの記憶と、新しい余白へ踏み出すジャンプ

足首の小さな隙間と対話するようにステップを踏みながら、ふと北海道で暮らしていた頃の冬の足元を思い出しました。雪が深く積もる季節になると、実家の玄関にはいつも重たいスノーブーツが並びます。足首まですっぽりと厚いボアで覆われていて、絶対に雪を入れない、絶対に転ばないための頑丈な靴。裏にはスパイクがついていて、アスファルトを歩くたびにガリガリと硬い音が鳴るようなものでした。あの頃は、その重たさとホールド感が何よりの安心だったのです。

高校1年の冬、札幌でのオーディションに落ちて悔し泣きしながら雪道を歩いた日。鼻の奥がツンと痛くなるような冷たい空気の中で、鉛のように重たい足を引きずりながら帰ったあの日も、足元だけはしっかりとスノーブーツに守られていました。吹雪の日でも、足首さえガッチリ固めていれば、どこへでも歩いていける気がしていたのです。

でも、今の私が立っているのは、ツルツルに凍った雪道ではなく、夢に向かって思い切りジャンプするためのフローリングの床です。転ぶことを怖がって足元をガチガチに固めるより、少しバランスを崩してでも、身軽に次のステップへ飛び出せるほうがずっとワクワクする。足首に感じるこの数ミリの隙間は、きっと私がもっと自由に、もっと大きく動くための大切な「余白」なんだ。

そう思うと、朝一番に感じた小さな戸惑いは、すっかりどこかへ消えていました。母がいつも言っていた「笑ってる人のところに夢は来る」という言葉が、ふいに頭をよぎります。そうだ、私は守られるためにここへ来たわけじゃない。もっと遠くへ、もっと高く飛ぶために、あえて不安定な場所を選んだのだから。

スマホのカメラを定位置にセットして、録画ボタンをタップしました。大好きな曲のイントロに合わせて、画面の中央で真っ白なスニーカーが元気いっぱいに弾みます。今はまだ完璧に足に馴染んでいなくても、一緒にたくさん汗をかいて、少しずつ私だけの相棒に育てていけばいい。いつもよりほんの少しだけ高いジャンプができそうな、そんな清々しい朝の始まりでした。

りん

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りん

明るく天真爛漫。ファンを大切にし、常に前向き。夢に向かって努力する姿勢を見せ、周りを元気にする。

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