この記事の要約

朝5時、ダンス動画を撮影するためにカメラスタンドへスマホをセットしたときの記録です。ひんやりとした金属の感触と、クリップを開くバネが買った当初より柔らかくなっていることに気づきました。毎朝一人でカメラを回し続けてきた証拠のようなその小さな変化に、私が積み重ねてきた愛おしい時間を感じます。レンズの向こうで待ってくれている人たちへ、今日もとびきりの笑顔を届けるための静かで熱い朝のお話です。

冷たい金属の感触と、朝5時に響く小さな合図

9月も後半に入って、朝5時の空気はずいぶんとひんやりしてきた。カーテンの隙間から差し込む光はまだ青白くて、部屋全体が静かな水底に沈んでいるような時間。いつものように部屋の隅に置いたカメラスタンドに手を伸ばすと、黒い金属のポールがヒヤッと冷たくて、思わず「ひゃっ」と小さく声が漏れてしまった。指先から伝わる予想外の冷たさに、まだ半分眠っていた細胞が驚いて目を覚ますような感覚。北海道の実家で迎える秋の朝に比べたら、今の街の気温なんてまだまだ暖かいはずだ。実家にいた頃は、この時期になるともう朝の息が白くなり始めていて、きょうだい三人でストーブの前を陣取り合っていたっけ。窓ガラスに結露が光るあの景色を思い出しながら、いっちょまえに季節の変化を感じて肩をすくめている自分がなんだかおかしくて、一人でふふっと笑ってしまう。

りん本人と「カメラスタンドの冷たい金属と、朝5時に響くカチッという合図」の内容を表すブログ挿絵
りん本人の雰囲気と記事の情景

でも、この指先に伝わる無機質な冷たさが「さあ、今日も始まるぞ!」って、寝ぼけた頭のスイッチをパチッと切り替えてくれるんだ。まだ少し重たいまぶたをこすりながら、スマホをクリップにグッと押し込んで固定する。その時に鳴る「カチッ」という小さなプラスチックの音が、私にとってのステージに上がる大切な合図になっている。外の世界はまだ夢の中で、街はしんと静まり返っている。遠くの方で新聞配達のバイクのエンジン音が、かすかにブーンと通り過ぎていくのが聞こえるくらい。

そんな静寂に包まれた部屋の中で、私の周りだけはもう、見えないスポットライトがキラキラと当たっているような気分になる。母と一緒にチクチク縫ったお気に入りの練習着の裾を整えて、足元のダンスシューズの紐をギュッと結び直す。画面の真ん中に自分の姿が収まるように立ち位置を確認して、軽くステップを踏んでみる。キュッ、というゴム底の音が床に響く。誰に見せるわけでもないけれど、毎朝必ず繰り返している、私だけの特別な儀式。この静かな時間があるからこそ、私は「アイドルを目指す私」にピントを合わせることができるんだと思う。

指先に残るバネの抵抗と、積み重ねてきた時間

スマホの角度を微調整しようとして、ふと指先に小さな違和感を覚えた。スマホを両サイドから挟み込むクリップのバネが、買った当初よりもほんの少し柔らかくなっているのだ。初めてこのカメラスタンドを部屋に迎え入れた日のことを思い出す。あの時は、両手で思いっきり力を入れないとクリップが開かなくて、「これ、スマホを入れる前に指が挟まれちゃうよ!」なんて一人で大騒ぎしながら悪戦苦闘していた。それが今は、片手でスッとスムーズにスマホをセットできるようになっている。

りん本人と「カメラスタンドの冷たい金属と、朝5時に響くカチッという合図」の内容を表すブログ挿絵
りんが記事の中心的な場面を振り返る一枚

私の握力が強くなったのかな?とも思ったけれど、よく見るとクリップの端っこやポールの接続部分には、小さな擦り傷がたくさんついていた。黒い塗装が少し剥がれて、下地の銀色がチラチラと見えている。それはきっと、私が毎日毎日、何度もスマホを挟んでは外し、上手く踊れなくてテイク2、テイク3と角度を変えてきた証拠だ。足先まで綺麗に映るように高さを下げたり、表情がよく見えるようにリングライトの位置を直したり。時には勢い余ってスマホごと倒してしまい、「ごめんごめん!」と慌てて拾い上げたこともあった。納得いくまで何度もやり直して、汗だくになって画面を確認した日々の記憶が、この小さな傷の一つ一つに刻まれている。

大手事務所のピカピカのスタジオでもないし、プロのカメラマンさんが「いいね、その表情!」って声をかけてくれるわけでもない。この六畳の部屋の片隅で、自分のステップの音と息遣いだけを響かせながら、一人きりでカメラを回す毎日。最初は心細くなることもあったけれど、このほんのり緩くなったバネの感触が、私がここでずっと踊り続けてきた時間を、ちゃんと見ていてくれたみたいで嬉しくなった。誰にも褒められない地道な作業の繰り返しだけど、無駄なことなんて一つもなかったんだ。なんだかすごく愛おしくて、「いつもお疲れ様」という気持ちを込めて、カメラスタンドの頭をポンポンと撫でてしまった。

レンズの向こう側に届ける、とびきりのスタート

画面の中に映る自分に向かって、まずはニカッと最高の笑顔を作ってみる。右の口角を少し上げて、目元をくしゃっとさせる。オーディションの時に審査員の方から褒められた、私の一番の武器。地元にいた頃、「現実見なよ」って笑われたこともあったっけ。地方からアイドルを目指すなんて、雪だるまを夏まで取っておくくらい無謀なことだって、周りの空気が教えてくれる瞬間が何度もあった。それでも諦めきれなくて、見よう見まねでダンスを踊り続けてきた。

母がずっと言ってくれていた「笑ってる人のところに夢は来る」という言葉を、私は誰よりも信じている。どんなに遠回りでも、どんなに泥臭くても、笑顔でいれば絶対に道は開けるって。だって、この小さなレンズの向こう側には、私の不格好なダンスを見て「今日も元気もらったよ!」って言ってくれるファンのみんなが待っているから。スマホの画面に並ぶアイコンや、温かいコメントの数々。SNSを通じて出会えた一人一人の存在が、毎朝5時に起きる私の何よりの原動力になっている。まだ誰も起きていないこの時間から汗をかくことなんて、全然苦じゃない。

バネが柔らかくなった分だけ、私もちょっとは前に進めているのかな。そう思うと、金属に触れて冷たかったはずの指先も、気づけばワクワクする熱でポカポカになっていた。画面越しの距離なんて関係ない。この部屋から発信する私の元気が、誰かの一日を少しでも明るく照らせるなら、私は何度でもこの冷たいカメラスタンドの前に立つ。今日もみんなに、一番の笑顔と元気を届けたい。大きく深呼吸をして、好きな曲のイントロを頭の中で鳴らしながら、私はとびきりの笑顔で録画ボタンをタップした。

りん

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りん

明るく天真爛漫。ファンを大切にし、常に前向き。夢に向かって努力する姿勢を見せ、周りを元気にする。

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