この記事の要約
休日の午前中、衣装に使う星型のアクセサリーパーツをレジンで手作りした日のこと。型に流し込んだ透明な液の中で逃げ回る気泡を追いかけながら、完璧ではないいびつさの可愛さに気づきました。青紫色の光を浴びて固まっていく過程に、ファンのみんなの応援で少しずつ形作られていく私自身を重ねた、静かでワクワクする作業時間の様子を綴っています。
とろみのある雫と、小さな海づくり
休日の午前10時。窓を開けると、夏の強い日差しが少しだけ和らぎ、ほんのりと涼しい風が部屋を通り抜けていきます。ベランダの向こうに見える雲も、もくもくとした入道雲から、少しだけサラッとした形に変わり始めている。季節がゆっくりと前に進んでいるのを感じながら、私はお気に入りのオリーブグリーンの作業マットを机いっぱいに広げました。ピンセット、つまようじ、大小さまざまなシリコンの型、そして透明なレジン液のボトルをずらりと並べます。今日は一日、次の衣装に使うアクセサリーパーツを手作りする日と決めていたのです。

ボトルをゆっくり傾けて、星の形をしたシリコンの型に透明な液を注ぎ込んでいきます。はちみつみたいにとろりとした重みがあって、ツーッと細い糸を引きながら型に収まっていく様子を眺めているだけで、なんだか心が落ち着きます。無心で手を動かすこの時間は、普段の賑やかな毎日とは少し違う、静かで贅沢なひとときです。
手元で細かな作業をしていると、北海道の実家で、お母さんと一緒にミシンを踏んでいた頃のことをふと思い出します。あの頃はビーズの仕分けがどうしても苦手で、よくケースごとひっくり返しては部屋中に散らばらせて、「もう、りんちゃんはおっちょこちょいなんだから!」って笑われていたっけ。今でも裁縫や細かい作業が特別に得意になったわけじゃないけれど、こうやって一から手作りする時間は大好き。型の中に広がる透明な層に、オーロラ色に光るクラッシュホログラムをパラパラと落とします。ピンセットの先から落ちた欠片が、とろみのある液の中をゆっくりと底へ沈んでいく。まるで机の上に小さな海を作っているみたいで、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じていました。
爪楊枝の先で逃げる、まん丸の空気
ホログラムの配置を真剣な顔で微調整していると、透明な液の中に小さな気泡がいくつか紛れ込んでいることに気がつきました。このままライトを当てて固めてしまうと、表面にプツッと小さな穴が開いてしまいます。爪楊枝の先を使って、そっと気泡をすくい取ろうとするけれど、とろみのある液の中をツルッと滑って逃げていく。息を止めて、右へ左へと逃げるまん丸の空気を追いかける、私と気泡の静かな攻防戦です。完璧に透き通ったキラキラのパーツにしたくて、ついつい眉間にシワを寄せて格闘してしまいます。
五分くらい格闘したところで、ふと手を止めて型ごと太陽の光に透かしてみたのです。ホログラムの欠片に寄り添うように残った、いくつかの小さな泡。それが光を反射して、まるでグラスに注ぎたてのサイダーみたいにシュワシュワと輝いて見えました。お店で売っているような完璧な透明感はないかもしれないけれど、このいびつな泡の跡が、私だけの模様になっている気がしたのです。
無理に全部を消し去らなくても、ちょっとした隙や偶然の産物が、思いがけない可愛さを作ってくれる。ダンスの振り付けでも、完璧になぞるより少しだけ感情が溢れちゃった時のほうが、みんなが褒めてくれたりする。そんな風に考えると、逃げ回る気泡もなんだか愛おしく思えてきました。結局、いくつかの気泡はそのまま残しておくことにして、私は次の工程に進むことにしました。
青紫色の光の中で変わっていく、柔らかい時間
気泡との追いかけっこに満足して、いよいよ小さなUVライトの出番です。型をセットしてスイッチを入れると、机の上に青紫色の幻想的な光がパッと広がりました。液体の状態から、光の力で少しずつカチッと固まっていく不思議な時間。ライトが発する微かな熱で、手元にふわりと甘いような独特の匂いが漂ってきます。じっと待っているこの数分間は、手を動かさずにただ見守るだけだから、頭の中では自然と次のステージのことがぐるぐると回り始めます。どんなステップを踏もう、どんな笑顔でみんなの顔を見よう。

今はまだ柔らかくて、ちょっとつついただけで形が変わってしまうような、未熟な私。地方から飛び出してきて、わからないことだらけの中で手探りで進んでいる毎日です。不安になる夜もあるけれど、こうして形になっていくものを見ていると、少しずつ前に進めているような気がしてきます。
毎朝のレッスンで汗を流したり、画面越しにみんなからのエールという温かい光を浴びたりするたびに、少しずつ芯のある強さを持てるようになってきている。光を浴びることでしか固まらないこの透明なパーツみたいに、私も一人きりの部屋では完成しないのです。たくさんの視線と歓声をもらって初めて、キラキラと輝く確かな形になれる。そんなことを考えながら、青い光の中で熱を帯びていく小さな星を、ただ静かに見つめていました。
ツルンとした手触りに込めた、とびきりの魔法
ピーッという短いタイマーの音が鳴って、ライトの光が消えます。シリコンの型からパーツを押し出すときの、パコッというくぐもった音がたまらなく好き。手のひらにコロンと転がり出たのは、まだほんのり温かくて、表面がツルンとした透明な星でした。指の腹で撫でてみると、さっきまで液体だったとは信じられないくらい、しっかりとした硬さがあります。既製品のジュエリーみたいに完璧なカッティングじゃないし、裏側には少しだけレジンがはみ出した跡も残っている。でも、窓からの光にかざしてみると、閉じ込められたオーロラと気泡が七色に弾けて、とびきり元気な輝きを放っていました。
これを次の衣装の胸元に縫い付けたら、ターンするたびにどんな風に光を反射するかな。スポットライトを浴びてキラキラと光る瞬間を想像するだけで、早くみんなの前で歌って踊りたくて、足先がムズムズと無意識にリズムを刻み始めます。少し不格好で手作り感満載のこのパーツは、きっと私に勇気をくれる最高のお守りになるはずです。
冷めていく星を両手でそっと包み込みながら、早くこの魔法を身にまとって、みんなを笑顔にする日が来るのが待ち遠しくてたまりません。机の上にはまだたくさんのホログラムが散らばっていて、今日の魔法作りはもう少しだけ続きそうです。次は何色の星を作ろうかなと、私は再び透明なボトルを手に取りました。
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